はだしのゲン回顧録

はだしのゲン」作者の中沢啓治さんの自伝を読みました。

「はだゲン」は政治的主張の濃い漫画なので賛否両論ありますが、文学として見れば、個人的にかなり好きな作品です。

本編では戦争・アメリカ・天皇許すまじと、徹底した責任糾弾が繰り広げられ、休載を挟みつつ10年以上に渡る長期連載となりました。

怨恨のもつエネルギーは凄まじいな!と感心していたのですが、どうやら、その背後には悲惨な原爆体験に加えて、きびしい貧困と差別の経験があったようです。

焼け野原となった広島には仕事もなく、家庭は困窮。残った家財道具を食料に替えるため、農家を訪れては頭を下げて回る日々。足元をみられて、ときには罵倒されることもあり、とても悔しい思いをしたそうです。

 

戦争が子供を大人にするとも書かれていますが、そのとおりだと思います。